もっとも市民との距離が近い市役所職員。
そんな市役所の職員に対していろんなイメージを持っているひとがいると思います。
「大変な仕事だ」「楽そうな仕事」「誰でもできる」「仕事できない奴の集まり」などどちらかというとマイナスなイメージを持たれていることが多く感じます。
ここでは、十数年市役所に勤務して感じた仕事ができない市役所職員にはどんな人がいたのか紹介してみたいと思います。
仕事ができない市役所職員の特徴
目的を見失っている人
目的を見失っている人には2パターンあります。
①上司の顔色ばかり見ている人
公務員に限ったことではありませんが、上司の言葉をそのままに受け止め過ぎる「イエスマン」がいます。
地方公務員にとって首長などの特別職は内部に対して強力な力を持っているんですよね。
当然、幹部職員の人事にも力を及ぼします。
みんな出世したいんですよねぇ。
首長がワンマンな場合、幹部職員たちは首長の顔色ばかり見ることになります。
その結果、現場の意見や市民の利便性を無視してでも首長の考えとおりになるよう部下に指示を出します。
仕事ができないというだけでなく、現場の士気を下げる結果になってしまうんですよね。
まわりにまでマイナスの効果を与えるのはちょっとね。
ちなみに、私の個人的な感想ですが、世代による違いもあるように思います。
なぜなら、団塊の世代の人たちが幹部職員だったころは、首長が相手であっても自分の考えを伝えて首長を説得する人たちが多くいたからです。
②批判を文句としてしか取れない人
公務員は政策に対して足りないところや議会や市民からの批判を受けそうな部分がないかをもっとも気にします。
だから、普段の仕事においても上司や同僚から仕事の仕方や内容について否定的な意見をもらうことがあります。
本来はアドバイスや指導の意味で行われた意見なんですが、どうにも自分が否定されたとしか取れない人がいるんです。
そうなると、やる気を失って「じゃあ勝手にやれば状態」になる人がいるんですよね。
面倒くさい話ですが・・・
もはや何が目的だったのかわからないです。
自分の意見以外は聞かない人
自分のやろうとしていることはきっと正しくて人のためになるはずと疑わない人がたまにいます。
こういう人の特徴は、行動力があり、外部の人脈が広い人に多く見られます。
自分はいろんなところでいろんな経験をしているから、新しいことも知っている。
役所の中の人は知らないだろうけど、これからは○○が必要なんです!って考えの人です。
他の職員がマイナス面や実行するために障壁となることを伝えても詭弁を話すだけ。
自分の裁量を超えて勝手に進めてしまうこともあって、上司は常に様子を見ていないとえらいことになってしまう人のことです。
動けば動くほどめちゃくちゃになってしまう可能性を秘めています。
なぜか自分に自信のある人
肩で風を切って歩いているタイプの人です。
役所内でエリートコースと言われる部署を転々としている人に多いです。
具体的には、若い時から財政畑や企画畑を担当していることが多いです。
市役所の仕事はとても幅が広いです。
そんな現場の仕事をまったく知らずに財政や企画をすると、机上の話ばかりで実行するときの障壁について想像することができません。
また、若いときから各所属の管理職などと話をする機会が多くなることから、自分が偉くなったと勘違いする人がいます。
例えば、財政担当などでは「自分たちがお金のやりくりをしているから役所は回っている」「現場の人間は無駄な予算ばかり計上する」などが言い分になります。
でもね、現場から言わせると「やりくりするのがあなたの仕事だから当たり前」「偉そうに言う前に現場の仕事やってみな」という意見もあります。
こういう人は、仕事ができないわけではないんです。
それなりにはできるからやっていけているのですが、メンタリティによって伸びしろを小さくしてしまっているのです。
評論家タイプとも言えますね。
実際、いろんな職場を経験してから財政や企画に行く人には、偉そうにする人はほとんどいません。
お金を削ることだけを言うのではなく、財政サイドから実現できる方法を一緒に考えてくれることが多いです。
それが仕事ができる人ですね。
あとは、民間企業出身者の中にいることがありますが、公務員を下に見ているのに採用された人です。
口癖は「そんなの民間では通用しませんよ」です。
でもそういう人に限って、市民からのクレームなどに机上の話をして怒らせてしまうことが多いです。
なぜなら、相手を論破することが目的になっているからです。
本当に仕事のできる人は、相手の希望と役所ができる範囲の譲歩をバランスよく調整してトラブルを治めること目的にしています。
私が感じた民間企業出身者で仕事ができる人は「みんな腰が低い」ということですね。
爪を隠している人が多いです。
そういう人は本当にすごい人がいますね。
初めから仕事をする気がない人
とにかく与えられた仕事をしない人というのが存在します。
周りからも「あの人はダメだから仕事は重要な仕事は任せない方が良い」と思われればシメシメです。
仕事自体がふられないから当然しません。
かといって知識を得るための学習もしません。
こういう人には、本当に仕事ができない人のパターンと、意外にも高学歴の人のパターンがあるんです。
日本で1、2を争うような大学を卒業した人にもこういう人はいます。
ただ、少ないながらも与えられた仕事を処理するのは異常に速いという側面もあったりします。
そして、そういう人は「あの人昔はバリバリだったんだよ」と言われる人も何人かいました。
どこかで悟りを開いてしまったのかもしれません。
「ここはオレの居場所じゃない」的な。
理解できないわけではありませんが、市役所の利益にはなりませんから仕事ができない人ということになりますね。
都道府県庁職員の方が能力の開きは大きい
私は市役所に十数年勤務していましたが、その中で都道府県庁の職員さんと接することもありました。
そこで感じたことは、「職員の能力の幅は都道府県職員の方が圧倒的に差がある」ということです。
都道府県職員さんの中には、話を聞いているだけで本当に優秀だなと感じる人も多くいました。
市町村からの質問に的確に答えるだけの勉強をされていたり、調整能力がとても高いと感じる人もたくさんいます。
しかし、逆に底辺を見たとき、逆に驚くような人もいます。
口だけは偉そうなのに、まったく依頼していた作業をしていない人、特にびっくりしたのは事前に日程調整し、そのときには結論を出していただけるという案件がありました。
私は指定の日時に都道府県庁を訪れました。
すると、「今日はなんだった?」と言われてしまうことが2回ありました。
最後は少しばかりキレてしまい口論になりました。
風貌もやばい人がいて、ワイシャツの上から3番目くらいまでボタンを外していて、中からブワーと胸毛が飛び出している50代の男性職員などもいましたね。
20代だった私は、絶句してしまったのを覚えています。
他にも、10時くらいに都道府県庁のある課におじゃましたとき、パンを食べながら平気な顔でインターネットをしている人なんかもいましたね。
都道府県の方が市役所よりも組織が大きいからなのでしょうか、能力の差がとても大きいと感じましたね。
市役所で仕事できない人の末路
市役所で仕事ができない人は、どうなっていくのか。
実際に私が見てきた結末をお話します。
いままでお伝えしたように、市役所で仕事ができない人にはいくつものタイプがあります。
そのパターンによってその末路はさまざまです。
肩で風を切るようなタイプの人は、それなりに周りを騙しながら出世してしまうことも多くあります。
そして、部下からとても嫌われる存在になることが多いです。
なぜなら、机上の話を部下に押し付け、部下の苦労を理解しようとしないからです。
行動力のある仕事ができない人は、たいていの場合は出先などあまり重要とは言えない部署の管理職になります。
権限を与えずに外で放し飼いにされるということが多いです。
しかし、本人にとっては自由に動き回れるため、意外に幸せなのかもしれません。
そして、仕事へのやる気がないタイプの人は、そもそも期待もされていませんし、期待されることを嫌います。
低い役職(係長よりも下)あたりで定年退職を迎えます。
しかし、これは本人にとっては予定どおりのシナリオのため、ノーダメージとなります。
市役所で仕事ができない人のまとめ
職場の先輩の誰かが言っていました。
公務員ていうのは時代によって人気がまったく違う。
昔は公務員になりたい人は少なかったから、頼んででも市役所に入ってもらうことがあった。
だから学歴なんて関係もなかった。
でも今は高学歴の若い人もたくさん入ってくる。
全員が高校は卒業しているとして、高校の偏差値で比べてみたら、市役所職員という集団の中には偏差値が30~70の人間がいる。
話が合うわけないでしょ。
という話を聞かされたことがあります。
確かにそうかもしれません。
組織というのはある程度同じ方向を向いたグループで作る方が効率が良いと思います。
学歴が大切だとは思っていません(実際、私も三流私大卒なので)が、ある程度同じ集団という枠組みができるような構成でなければ機能しないのではないかと思っています。
スポーツであっても、プロの選手の中に一定数の中学生を入れたチームがまともに機能するとは思えませんから。
これから市役所に勤める人に伝えたいことは、反面教師はたくさんいるのでそこから学ぶことも多くあると思います。
そんな中で、優秀な職員になっていただきたいなと切に思います。