地方公務員試験(市役所)といえば、やはり筆記試験に重点を置いてしまいますよね。
でも、市役所の採用試験の中には筆記試験と同じ日に面接までするところもあるんです。
そうなると、筆記試験のために勉強しているだけでは対応できません。
私も実際に某市役所面接での質問内容を考えていなかったばかりに不合格になった経験があります。
やっぱり、2、3日で適当に対策したところで面接官には見破られてします。
民間企業の就活でも同じですが、すべての会社の志望動機なんて真剣に考えてられないというのが本音だと思います。
しかし、面接ではいろんなことをしっかりと答えられるように振る舞うしかないのです。
それにはそれなりの対策期間と経験が必要になってくるのです。
ここでは、主に市役所の面接試験で想定される質問の内容や回答についてお伝えしていきたいと思います。
市役所が面接試験で確認したい4つの項目
面接の質問内容について知る前に、なぜ面接試験であなたに質問をするのかを考えなければ対策することはできません。
質問にもそれぞれ意図があるはずだからです。
①社会人としてふさわしいか
- 普段の態度
- マナー
- 清潔感のある服装
- 適切な敬語
公務員かどうかに関わらず、社会人としてふさわしいことは重要です。
特に市役所など市民との距離が近い公務員になると、日々の業務の中のささいなことでもクレームが入ることがあります。
例えば、公用車の運転の仕方であったり、話し方や服装などにもクレームの電話が入ることがあります。
出張先へ向かう途中、昼食をとるために飲食店やコンビニに立ち寄るのも市外に出てからにすることが多いです。
市役所の面接に適した服装としては、無難に紺のスーツに白いワイシャツ、黒の革靴にブリーフケースという服装であればマイナスになることはありません。
面接を受ける服装で加点される服装は特になく、減点法だと考えて良いと思います。
適切な敬語というのは、完璧な敬語ということではありません。
社会人の中でも完璧に敬語を使いこなしているような人は少ないです。
失礼のない程度の敬語であれば問題はありません。(丁寧に話そうとしている様子が感じ取れればそれで良いと思います。)
つまり、正しい振る舞いができる人なのかどうかを確認しているのです。
②好感が持てるか
これから先、一緒に働くことになる可能性がある人を選ぶわけです。
普段の生活の中で感じの良い人がどんな人なのか想像してください。
- しっかりと挨拶をしてくれる人
- 目を見て話しをする人
- 声が小さすぎない人
- こちらの話をちゃんと聞いてくれている人
などなどあると思います。
つまり、一緒に机を並べて仕事して、気持ちが良い人かどうかを確認しているのです。
③組織に順応できるか
市役所は3年から5年の周期で異動がある職場です。
しかも、仕事の内容がとても幅広いため異動直後は職場の雰囲気だけでなく、仕事内容に対応するのも大きなストレスを伴います。
仕事については周りの人のサポートがとても重要になります。
あなたが、サポートを受ける側であっても、サポートする側であっても、市役所職員として必須の能力は「協調性」です。
面接や集団討論の場では、協調性があることをさりげなくアピールしするようにしてください。
④市にとって有益な人物か
- やる気はあるか
- 責任感はあるか
- 目的意識を持っているか
- 新しい価値観を持っているか
正直なところ採用に関する温度差は市役所によって大きく差があると思います。
昔ながらの考えで採用している市役所なら「辞めれば補充するだけ。ソコソコの人材であれば良い」と考えている市役所もあります。
それに対して、人材を人財と考えている市役所なら、「これからの〇〇市には、□□な人財が必要だ!」と考えている市役所もあります。
市によっては明確に「求める人材」をアピールしているところもありますね。
前者のような市役所であればやる気だけをアピールしても良いのかもしれませんが、後者の場合はしっかりとあなたがどんな人間なのか伝える必要があります。
もちろん、市の考え方とあなたの人間性がマッチしないこともありますが、少なくとも「やる気」「責任感」「目的意識」があることはアピールする必要があります。
目的意識とは、大げさなものでなくとも、「数年後の未来にどんな職員でありたい」や「いつかこんな政策を実現したい」などで良いと思います。
もっとも難しいのが「新しい価値観」です。
市役所や職員個人によっても違いますから、どんな価値観が正しいということはわかりません。
ただ、今までの地方公務員のままではいけないという危機感を持っている市役所はとても多いです。
あなたの志望する市役所が求める人財がどんな人材であるかをリサーチしておく必要があります。
あとは、あなたの正直な価値観を伝えれば良いと思います。
民間企業の就活なら、あなたに合わない企業もあります。
市役所であっても同じなのです。
面接でやってはいけないことは誠意のない対応だけ
誠意のない対応というのは、「嘘」と「大げさ」です。
面接官はプロの市役所職員です。
何年にもわたり多くの市民や社会人と接しています。(特に市民にはいろんな人がいますからね)
そんな相手に、あなたが嘘をついたり大げさに話をしてもバレます。
嘘をつくくらいなら、「勉強不足で申し訳ありません。これから勉強させていただきます。」くらいは言ってほしいです。
素直に「わかりません」で良いんです。
ただ、質問があなたの意志や考えを問うものであった場合は話は別です。
単純にあなたの準備不足ということになってしまいます。
あと、「大げさ」ですが最も嫌われることのひとつです。
そもそもあなたに対して、即戦力として期待しているわけではありませんから、「僕はこんなことができるんです!」と猛アピールをしても、何の実績もないわけですから判断のしようがありません。
あくまでもエピソードを交えて、自分はこういった能力や特徴があると自己分析していることを伝えれば良いと思います。
市役所の面接試験で想定される質問内容
なぜなら、回答例を紹介しているサイトも多くありますが、よくある回答を真似しても面接でプラスに働くことはないからです。
やる気・意欲を確認する質問
- あなたの長所と短所を教えてください。
-
自己アピールの場ですが、長くならないよう簡潔に伝えましょう。
長所は市役所の職員として役に立つと言えるものを選びましょう。(なぜ役に立つと思うかも説明しましょう)短所は、長所にもとれるようなものを選ぶようにして、明らかに仕事に向いていないというものは避けてください。 - 上司と意見が合わないときどうしますか。
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協調性があることを伝えたいところです。
上司に対して否定的な反応はNGです。話し合うという表現も正しくない(上下関係を考えて)ので、上司の考えを教えてもらうというような言い回しの方が適切です。 - 民間企業ではなく、なぜ公務員を志望しているのですか。
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あなたのやりたいことや目指すものを実現するには、公務員という立場が最適だったということを伝えます。(なぜ、それを目指すことになったのかも伝えると信用度が高まります)
間違っても世の中の役に立ちたいなど浅いことは言わないこと。(民間企業でも多くの会社が世の中の役にたっている)
- なぜ〇〇市を志望しているのですか。
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あなたが〇〇市についてどれだけ時間を割いて調べてきたのか、やる気があるのかが試されています。
志望している市の実施している施策や計画などについて共感できる部分を見つけるようにしましょう。知っている人(両親や親せき)が勤めているのを見て、憧れたなどという理由を言う人がいるようですが、マイナスポイントにしかならないでしょう。 - 〇〇市の良いところはどんなところだと思いますか。
-
同じく、あなたが〇〇市についてどれだけ時間を割いて調べてきたのか、やる気があるのかが試されています。
実際に私は、何も調べずに面接に挑んだ結果、この質問の後あきらかに空気が変わってしまい不合格になった経験があります。お祭りなどのイベントや観光資源などを挙げるのは簡単ですが、それよりも〇〇計画など未来について勉強していることを含めると、やる気が伝わりやすいはずです。 - あなたのどんなところが市役所の職員に向いていると思いますか。
-
あなたが市役所職員という職業に対してどんなイメージを持っているのか、どのような資質が必要だと思っているのかを問う質問です。
公務員に求められる基本的なスキルは、「協調性」と「責任感」です。
少し違ったところでは、フットワークの軽さや対人スキルをアピールするのも良いと思います。単語で返すのではなく、市役所の仕事の中でこんなところに生かせるということを具体的に伝えましょう。
- 学生時代はどんなことに打ち込んでいましたか。
-
あなたが継続して努力できるかを問う質問です。
ただ、〇年続けてきましたというのではなく、具体的な成果(「キャプテンを務めた」「努力の結果、〇〇大会で〇位」など)
さらに、続けての質問に対応できるように、そこから学んだことについても用意しておきましょう。
そして、学んだことを市役所の仕事でも生かせるということをアピールします。 - 採用されたあとどんな仕事をしてみたいですか。
-
あなたのやる気と市役所の仕事への理解を問う質問です。
「特にない」は絶対にNGですから、必ず具体的な理由を添えて希望の仕事を見つけておきましょう。
意外かもしれませんが、「何でもします」はプラスに評価されません。
就職後のビジョンが描けていないことになるからです。可能であれば〇〇の仕事に携わりたいですが、組織で仕事をする以上、どのような仕事でも前向きに取り組みたいということを伝えることで、やる気と将来のビジョンを伝えることができます。
- 前職を退職した理由を教えてください。
-
社会人の経験がある人にとっては必ず準備しておくべき質問です。
大切な仕事を辞めてまで市役所の仕事に就きたいと考えているわけですから、前向きな理由が理想です。
間違っても以前の仕事が自分には向いていなかったなどと言わないでください。
また、すぐに辞めるかもしれない人と評価されてしまいます。
時事・ニュースの知識を確認する質問
- 最近気になったニュースはありますか。
-
普段から世間について知ろうとしているかを試す質問です。
短期間で対策できることではありませんから、受験対策の初期の時期から新聞やニュースは確認するクセをつけるようにしましょう。
そして、ニュースは事実関係だけをインプットするのではなく、あなたなりの意見を出すように意識して見るようにしましょう。
また、過去の類似ニュースについて調べて、過去と現在の違いなどから時代の変化などについて語れると最高です。 - ○○についてあなたの意見を聞かせてください。
-
先ほども言いましたが、普段からニュースなどは自分なりの考えを持つように意識することが大切です。
しかし、この場合の意見は偏り過ぎた意見にならないようにしましょう。
○○についての現状や課題、対策方法などを踏まえて話ができることが理想です。
- これからの市役所職員に必要なことは何だと思いますか。
-
先を見据えたビジョンを問う質問です。
一般的に公務員に求められることは「協調性」や「責任感」、「誠実さ」などですが、今までの公務員を否定するようなことを言わずに、これからの時代の変化から新たに公務員に必要な要素を見つけましょう。
- 最近読んだ本を教えてください。
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あなたがどんなことに関心を持っているのかを問う質問です。
深く考える必要はありませんが、マンガなどを答えるようなことはしないでください。
本の内容と、その本が言いたかったこと、それに対してあなたが感じたことを簡潔に伝えましょう。
- 今日のニュースで気になったことはありますか。
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どちらかというと緊張をほぐすための質問でしょう。
難しいことを言おうとして失敗するくらいなら、試験当日の朝のニュースを簡単に見ておいて気になったことを答えれば良いと思います。
性格を知る質問
- 月に何冊くらい本を読みますか。
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あなたに本を読む習慣があるかを問う質問です。
公務員は文書や法律に関する書籍を読む機会が多くあります。
活字を読むことに慣れていなければ辛いこともあります。もし、本を読む習慣がなかったとしても、卒業論文や卒業研究などで専門書を努力して読んだことなどを伝え、本を読むことが苦手ではないことをアピールする必要があります。
- あなたのストレス発散方法を教えてください。
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職場への適応性を見極める質問です。
公務員はストレスを多く抱えることが多いです。
その際、あなたがストレスを溜め込むタイプなのか、うまく発散ができる人間なのか確認したいのです。ストレスの発散方法をエピソードを交えて具体的に伝え、その結果気分を新たに他のことにも挑戦していけることをアピールしましょう。
- あなたと意見が合わない人と仕事することになったらどうしますか。
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あなたが対人関係でストレスを感じるタイプなのか、協調性はあるのかを問う質問です。
この場合、「誰とでも合わせられる」などと答えるのではなく、あくまでも合わない人がいたらどうするかということについて答えてください。
市役所の仕事は、組織として行動することが大切です。
協調する努力ができること、相手を尊重することができることを過去のエピソードを交えて伝えてください。 - 趣味はなんですか。
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趣味の内容について評価をするわけではありませんが、世間一般で良い印象を与えないものは選ばないようにしましょう。
個人的には、どんな趣味でも良いと思っていますが、面接官によっては趣味によって勝手なイメージをつけられることもあります。
また、その趣味によって得られること(肉体的・精神的)を伝え、仕事にも生かせるということをアピールしたいですね。
(チームワークやストレス発散、目的に対して努力できるなど) - 何か資格は持っていますか。
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目標に向かって努力することができるかを知りたい質問です。
資格がある場合には、なぜその資格を取得する必要があったのか、何に活かせるのか、努力したエピソードを交え、必要な努力を惜しまないことをアピールします。特に資格を持っていない場合は、今から取得したい資格を具体的に挙げます。
そのとき、市役所の仕事に活かせると思う資格を理由を付けて説明しましょう。 - 将来これだけはやってみたいということはありますか。
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将来のビジョンを持っている人かを確認する質問です。
仕事に限らず常に目標を持って取り組んでいる人とそうでない人では、どちらが優れているかは明白です。
市役所の仕事でなくても構いませんので、どんな目標を持っているのか、その目標を目指す理由や目標を達成するためにどんな取り組みをしているのかを具体的に伝えましょう。 - アルバイトの経験はありますか。
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学生生活以外の社会での経験を問う質問です。
アルバイトを通じて学んだこと、特に社会人としての準備ができていること(礼儀や言葉遣い、継続できること)を具体的に伝えましょう。
たまに、いろんなアルバイトをこなしていることをアピールする人がいますが、学生の本分が勉学であることを考えるとマイナスに評価されることもあります。
また、同じアルバイトを長く続けるのではなく、いろんなアルバイトをした理由も突っ込まれる可能性があります。(いろんな経験ができたなどでは無意味) - 今までで一番大きな失敗は何ですか。
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失敗に対してどんな対応をしたのかを問う質問です。
失敗をしたことに対して、あなたがどのような行動をとったのか、逃げたのか、再挑戦したのか、別の方法を見つけ出したなどを具体的エピソードを交えて伝えましょう。
逃げたという選択肢以外であれば良いと思います。
再挑戦することも重要ですが、個人的には別の解決策を探ることができるという方が、論理的に物事をとらえることができていると考えてこれからの公務員としては期待するかもしれません。 - 希望の部署に配属されなかったときどうしますか。
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組織として動くことができるかを問う質問です。
市役所という職場は3年から5年周期で人事異動があります。
これから数十年と働くことになりますが、当然希望の部署にいける人の方が少ないです。
そんな中でもやる気を失わずに前向きに仕事に取り組めることはとても重要なことです。
将来的な希望はあるものの、目の前の仕事に対しても真摯に取り組めるということをアピールしましょう。
ここでも、「何でもやります系」のアピールはしない方が良いです。
市役所採用試験の質問内容の例まとめ
ここまで、面接で聞かれそうな質問の例をいくつか挙げました。
しかし、これらの質問は参考程度にしてください。
なぜなら、質問例を知ることよりも面接の質問の意図を知ることの方がはるかに大切だからです。
面接官がどんなことを知りたがっているのか、市役所の職員に求められることは何なのか、それに対してあなたにはどんな能力や性格があるのか、それに対する具体的なエピソードはあるのかなどを考えてください。
個人的には、受験生の模範解答となるような答えを言う人よりも、素直で真っすぐな人を評価したいと思いますが、公務員という特性上、普通の人を良しとする面接官も多くいるでしょう。
安全にいくなら、無難な回答をする方が良いのではないでしょうか。
しかし、実際に私は面接の際に本音でしか答えていませんし、しっかりとした面接対策というほどのこともしていませんでした。
作文試験では、公務員批判のようなこともズバズバと書いてしまいました。
それでも実際に合格できたのは、面接官の中の人がどこにでもいる人物よりも評価してくれた人がいたからです。
まず、あなた自身を分析して、市役所職員としてどうなりたいのかしっかりとした意見を持つことが大切だと思います。