環境問題でたびたび話題に挙がるスーパーのレジ袋の扱い。
今ではエコバックを使う習慣も一般的になってきていますが、プラスチック製のレジ袋を使うことはダメなことなのでしょうか。
行政として制限をかけることが適切なのか、「レジ袋を使用することの是非」について考えてみたいと思います。
ここでは、実際の意見ではなくあくまでも集団討論や論作文で出題された場合として考えていきます。
レジ袋利用のメリットとデメリット
レジ袋の使用の主な問題点として「環境破壊」が挙げられます。
それでもレジ袋が使われるのは、今のプラスチック製レジ袋にもメリットがあるからです。
まずは現在使われているレジ袋のメリットとデメリットを知る必要があります。
- 安価で大量生産が可能
- 軽くて丈夫、携帯に便利
- 透明性があり、着色も自由
- 密封性、耐熱性に優れる
- 燃焼時にダイオキシン等の有害物質が発生する可能性がある
- プラスチックであるため、石油を使って作られている
プラスチック製レジ袋の現状
プラスチック製品に使われる原油は全体の約3%にすぎない
一般社団法人 プラスチック循環利用協会発行の「プラスチックとリサイクル8つの「?」」では、2012年のプラスチックの生産に使われた原油の割合は、2.8%と記載されています。
プラスチック製品に使われた原油が全体の2.8%で、その中のレジ袋に使われた石油となればさらに少なくなります。
1年間のレジ袋に使用される石油量は、国民一人当たりわずか3リットル程度だと言われています。
ダイオキシンなど有害物質を減らす努力はすでにされている
プラスチック製レジ袋を燃やすと、ダイオキシンなどの有害物質が発生するということが言われています。
しかし、実際にはプラスチック製品すべてで燃焼時にダイオキシンが発生するわけではありません。
また、各自治体が設置している焼却施設には、有害物質を減らすような仕組みが導入されていることが少なくありません。
ただし、このような焼却施設は市町村の財政から支出が必要になります。
容リ法でごみの減量化を図るための対策がされている
平成12年4月に完全施行された「容器包装リサイクル法」により、ごみの減量化に対する対策がされています。
「企業」「家庭」「市町村」「リサイクル工場」それぞれが役割りをもっており、ごみの減量化に取り組んでいます。
自治体の負担が大きいとの指摘もあると言われています。
レジ袋の是非に対する行政的な視点
ここまで、レジ袋に関する環境問題やそれに対する現状について簡単にまとめてきました。
ここから、討論や論作文に必要なポイントをまとめていきます。
- 環境問題におけるレジ袋の影響は大きいのか
-
原油製品の占めるレジ袋は少ない、燃焼時の有害物質対策もある程度できている。
- レジ袋以外でもっと大きな成果を上げることはできないか
-
マイカーの利用を制限する、またはガソリンの値上げなどによりガソリン使用量を減らすほうが効果が大きいのではないか。
- 行政がどこまで入る必要があるのか
-
財政負担が大きくならないか、それでも対策する必要性や緊急性があるか。
- どのレベルの規制が必要か(エコバック推奨・レジ袋有料化・レジ袋禁止など)
-
企業の運用面や市民の利便性にどんな影響がでるのか。
- 規制によって他の問題が出ないか
-
民間部門に不要な費用負担がかからないか。
レジ袋の是非 | 討論・論作文まとめ
プラスチック製レジ袋の使用がゼロになれば、使用する石油量が減りますし、燃焼時の有害物質もなくなります。
環境にとってプラスであることは誰の目からみても明らかなことです。
討論や論作文では、現代社会の中でレジ袋がゼロになることによってマイナスの影響はないのか、行政が優先順位を上げて対策しなければならないことなのかなどの視点で論じることが必要になります。
このとき、あなたの環境問題に対する意見などは不要なのです。
現状を理解し、あくまでも行政職員としてどうすべきなのか、結論を出すまでにどんなことを考えたのかが重要になることに注意しましょう。
他にも、容リ法について知っているかなど、知識を得る努力をしているかもアピールするチャンスです。
そこに感情論は不要で、論理的に話を組み立てることを意識しましょう。
参考までに、実際に条例でレジ袋を禁止しようとしている事例についてまとめた記事を紹介しておきます。